ケーブルテレビのインターネット接続サービスは、1996年10月に武蔵野三鷹ケーブルテレビ(現在J:COMグループのJ:COM武蔵野・三鷹)で始まりました。当時のインターネット接続はダイヤルアップ接続が主流だったため、ケーブルテレビのインターネットの常時接続サービスは画期的サービスとして、ユーザーから高い支持を集めました。
その後の技術の進歩と伝送路の高品質化の進展によりケーブルテレビのインターネットの接続スピードは高速化されてきました。近年では競合の光通信回線を使った光インターネット接続サービスと同等の通信速度を誇る超高速サービスを展開する事業者もおり、ハイスペックを求めるユーザーのニーズを十分満たすことで引き続き支持を受けています。
このようなケーブルテレビ事業者の不断の努力により、ケーブルテレビのインターネットサービスは、超高速サービスから廉価なサービスまで顧客ニーズのレベルに適合したサービス群を開発・商品化し、地域密着プロバイダとしての信頼感を得た結果、加入者も堅調に増加を続けています。
ケーブルテレビは、放送サービス事業、インターネット接続サービス事業に続く、第三のサービスメニューとして電話サービスを展開しています。ケーブルテレビ事業者の電話サービスの歴史は1997年にタイタスコミュニケーションズ(現在J:COMグループ)が交換機を利用したプライマリー固定電話サービス(OAB~J電話番号体系を利用するNTTの加入電話とほぼ同等品質の電話)を開始したことに始まります。その後、プライマリー固定電話サービスを全国の200以上のケーブルテレビ事業者が採用し、2016年3月末には約786万世帯以上の世帯がケーブルテレビ電話サービスの加入者になりました。当初は交換機を使った電話サービスでしたが、現在はIP技術を利用したVoIP方式が主流になっています。ケーブルテレビ事業者各社とも電話サービスには引き続き力を入れていることから、今後もケーブルテレビ電話サービスの加入世帯増が見込まれています。
近年のデジタル技術の急速な社会への普及とあわせて、無線通信が「企業」、「人々のくらし」、そして「IoT」として、モノにまで広がっています。有線のネットワークを基盤に成長してきたケーブルテレビ業界ですが、無線のネットワークと連携したシームレスなインフラサービスの提供が利用者から求められてきました。こうしたニーズに応えるため、連盟が主体となったプラットフォームにケーブルテレビ各社が参加する形で、2014年12月より「ケーブルスマホ(MVNO)」サービスを開始しました。
地域密着のケーブルテレビ事業者がケーブルスマホサービスを手掛け、丁寧なサポートを行うことにより、スマートフォンやタブレット端末利用の裾野が広がるとともに、様々な地域情報サービスの提供も始まっています。
※MVNO(Mobile Virtual Network Operator):仮想移動体通信事業者。自前の無線通信回線設備を持たず、自社ブランドで携帯電話などの移動体通信サービスを行う事業者のこと。
地域BWAは(Broadband Wireless Access)、市町村単位で地域事業者が事業展開可能な無線システムです。2014年10月からは、LTE技術をベースとした通信規格が利用できるようになり、以来導入事業者が増加しています。ケーブルテレビ事業者においても、離島や農村、山間部など有線によるネットワークの構築が困難な地域での無線によるブロードバンドサービス提供のために活用したり、防災や防犯のための公共サービス提供にも利用されています。
全国系MNOのサービス提供に加え、地域ニーズや個別ニーズに応じて、様々な主体が5Gを活用できるローカル5Gが制度化され、2019年12月より28GHz帯(ミリ波)周波数の免許申請が開始されました。さらに2020年12月には、28GHz帯の周波数拡張と、新たに4.5GHz帯(Sub6)周波数の免許申請が開始されました。ローカル5Gのより柔軟な運用に向け、一定の条件下において他社土地を自己土地相当とみなすことができる「共同利用」の概念導入に伴う制度改正が行われ、2023年8月31日に免許申請が開始されました。この制度を活用することにより、ローカル5Gがより使いやすい形で提供可能となりました。
地域課題は農業・製造業・観光業・防災等それぞれ地域によって異なりますが、地域に根差したケーブルテレビ事業者がローカル5Gという新しい技術を活かし、地域のニーズにきめ細かく対応し、地域DXの担い手として、地方創生に貢献することを目指しています。
連盟では、ローカル5Gサービスのための設備整備と戦略的な展開を目的として、業界統一コアを立ち上げ、業界全体で協力、連携をしながら積極的な利用の啓発を進めています。
※5G:超高速、超低遅延、多数同時接続という3つの特徴を有した現在のLTE(4G)の次世代移動通信システム ※業界統一コア:(株)グレープ・ワンが運営し、(株)地域ワイヤレスジャパンを通じて業界内に無線を中心とした各種サービスを提供するための設備。
IoTとは、あらゆるモノをインターネットでつなぎ、人やモノからデータを収集・解析し活用する技術です。今後、コンシューマ、行政、企業におけるあらゆる分野でIoT活用が進むと見込まれています。
ケーブルテレビ業界として、コンシューマ向けにはホームIoTや見守りなど家庭へのIoTサービス拡充を進めています。また、行政、地域の企業向けには、あらゆる分野でのIoT活用、デジタル化ニーズに応えていくため、ビジネスモデル検討およびシステム環境の整備に取り組んでいます。